銀粘土とガラスを焼成
公開日: 2019/09/27 アートクレイシルバー ガラス ガラスフュージング 銀粘土
暖色系のガラスと銀の相性悪し・・・。
アートクレイシルバー(銀粘土)とガラスを一緒に焼成すると、思わぬ現象が起こったりいたします。特に暖色系(黄色、オレンジ、赤など・・・)のガラスと銀の相性は非常に悪く、まぁ間違いなく変色(変色というより真っ黒に・・・)してしまいます。
これはガラスの着色時に使われる硫黄成分が銀と化学反応を起こして黒くなってしまう現象でございます。
銀粘土を使われる方は「いぶし液」をご存知かと思います。いぶし液は硫黄がはいっておりますので銀に使うと真っ黒になります。シルバーアクセサリーの黒い部分はこのいぶし液を銀に塗って黒色を出すわけでございます。
銀粘土プレートに黄色と赤のミルフィオリをはめ込んだ。
写真の通り今回挑戦したのが暖色系ガラス。ベネチアガラスとしても有名なミルフィオリ。これをアートクレイシルバーのプレートにはめ込んで一緒に焼成してやろうという作戦です。はめ込むといってもミルフィオリ自体均等な円ではありませんのでどうしても隙間が出来てしまいます。ただし、これは分かっていたこと。実はこの状態で焼成して全く問題ないと予測の上での焼成なのでございます。
隙間OKってどういうこと?
焼成後にガラスとプレートの間に隙間があったらこれほどブサイクなことはありません。でも大丈夫。アートクレイシルバーをはじめ銀粘土は焼成すると水分とバインダーが飛んで銀だけが残るという物。当然バインダーや水分が飛んでいったとなればその分小さくなります。つまり銀粘土の特性として焼成すると10~20%ほど縮むのでございます。
銀粘土の縮みがガラスに及ぼす影響は?
銀粘土が焼成により収縮するとなれば、中に詰め込んだガラスを締め付けて割ってしまうのでは?なんて思っている方もいるかと思います。
大丈夫。ガラスは焼成することによって柔らかくなりますから、銀粘土が縮んでもガラスは柔らかいのでそのまま銀粘土にまとわりつく感じとなります。
つまり、銀粘土とガラスとの間にあった隙間も埋まってくれるというまさに一石二鳥。
と、頭の中の計算ではここまで何も問題ないのでございます。
トップ温度は800℃で10分キープ・・・。
通常、銀粘土の焼成を電気炉でする場合には650℃で30分キープいたします。この温度で銀粘土に含まれる水分とバインダーを飛ばしてしまうわけですが、今回はガラスと一緒に焼成。となりますと650℃ではガラスの形状は一切変わらず、ミルフィオリが溶けたふっくら感を出すことが出来ません。よって今回私が選択したのは800℃で10分キープ。この温度で当然銀粘土のバインダーも飛びますし、ミルフィオリも溶けて柔らかくなり表面張力でぷっくり丸みを帯びてくれます。
やっぱり真っ黒になったじゃねぇーか・・・。
しっかり冷ましまして電気炉から取り出しましたら、ガラスが真っ黒・・・。予想通りと言えば予想通りなのですが、思いっきり変色しちゃっております。一見もう取返しが付かないようにも見えるこの現象。
「これだから暖色系ガラスと銀粘土を一緒に焼成しちゃダメなのよ」
と言われる理由がここにあるわけでございます。
ガラスもいぶし液に浸けた銀と同じなのでは?
真っ黒になってしまったガラスを見て絶望してても埒が明きません。
「これ、ガラスがいぶし液に浸かった銀と同じことなのでは?」
と思ったのでございます。暖色系ガラスは硫黄成分が銀と反応。いぶし液も硫黄と銀をあえて反応させて使うもの。同じ匂いがいたしますね。
いぶし液で黒く変色させた銀のアクセサリーなどは、銀色にしたいところを磨いて黒くいぶされた部分を削って銀を出します。
つまり、ガラスの表面も研磨して削ればガラスの元の色が出てくるのではないかとおもったのでございます。
さぁ、削ってみますよ。
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